
オリーブオイルやこめ油がいいって聞くけど、なんで?
そんな疑問を解決したくて、油について調べてみました。
その結果、油を選ぶ際のカギとなるのは、脂肪酸という油の主成分であるということが分かりました。
脂肪酸の種類によって、
- 加熱料理に向いている油、生食としての利用が向いている油
- 積極的に摂取した方がよいもの、控えた方がよいもの
などに分けられます。
脂肪酸の特徴を知ると、料理のタイプに応じた油が選べるようになります。
今回の記事では、油(脂肪酸)の特徴を整理しながら、料理におすすめの油をまとめました。
料理にどんな油を使えば良いか迷っている方は、参考にしてみてくださいね。
今すぐ、料理に使う油のおすすめ3選を見たい方は、以下をクリックするとジャンプできます。
油の違いを知るには脂肪酸の特徴をチェック
油の主成分である脂肪酸。
油選びは脂肪酸選びでもある、ということになるのですが、まずは油(脂肪酸)を選ぶ際に、知っておくと良いポイントをお伝えします。
【油選びのポイント】
1. 不足しがちと思われる油を積極的に摂ること
2. 目的の料理法に適した油であること
この2点です。
これさえチェックすれば、自分に必要な油を選べるようになります。

脂肪酸の特徴はこちらの表の通りです。
脂肪酸 | ||||
飽和脂肪酸(常温で固体のものが多い) | 不飽和脂肪酸(常温で液体) | |||
一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 | |||
オメガ9系 | オメガ3系 | オメガ6系 | ||
代表的な脂肪酸 | ラウリン酸、ミリスチン酸、 パルチミン酸、ステアリン酸 |
オレイン酸、パルミトレイン酸 | α‐リノレン酸、 DHA、EPA |
リノール酸、 γ(ガンマ)‐リノレン酸 |
上記脂肪酸を含む油・食材 | ココナツオイル、バター、 ラード、肉類 |
オリーブオイル、こめ油、 菜種油、アボカドオイル、 |
えごま油、アマニ油、 サチャインチオイル、青魚 |
ごま油、コーン油、大豆油、穀物 |
加熱の可否 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
体内生成 |
〇 | 〇 | × | × |
その他 |
飽和脂肪酸は炭素の長さでも分類されている。 ・短鎖脂肪酸 |
・熱に弱いので、食材にかけたり、ドレッシングに混ぜたり、生食向き
・グリーンナッツオイル(別名:サチャインチオイル/インカインチオイル)は加熱料理もOK |
・現代人は摂りすぎの傾向がある |
脂肪酸は、炭素が鎖のように連なった構造をしているのですが、その結合の仕方によって、最終的に下記の4種類に分類されます。
1. 飽和脂肪酸
2. オメガ9系(一価不飽和脂肪酸)
3. オメガ3系(多価不飽和脂肪酸)
4. オメガ6系(多価不飽和脂肪酸)
飽和脂肪酸は常温で固体のものが多く、バターやココナッツオイル等があります。一方、不飽和脂肪酸は常温で液体の状態です。オリーブオイルやこめ油といった植物油全般が該当します。
また、飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は体内で作り出すことができるのですが、多価不飽和脂肪酸は体内生成できず、食物からの摂取が必要で「必須脂肪酸」と呼ばれています。
不足しがちなオメガ3系の油。使うときは生食用に
ここで、ポイント1:不足しがちと思われる油を積極的に摂ること、について考えてみます。
不足しがちな油とはどれなのか?
脂肪酸の特徴から、体内生成できないオメガ3系や6系の油は不足しやすいのでは?と思いますよね。
しかし、オメガ6系の脂肪酸の一つであるリノール酸は、米や小麦などの穀物にも含まれているため、普段の食事から十分摂取できている、と言われています。
オメガ6系の油については、控えめでの良さそうです。
一方で、オメガ3系の油は、積極的に摂取するといいと言われています。
オメガ3系にはDHAやEPAなどがあり、ご存じの方も多いでしょう。サプリメントなどでも良く見かけますよね。
青魚に多く含まれていますですが、昔に比べると魚が食卓に上がる機会が減り、不足しがちな脂肪酸と言われています。
ちなみに、「魚からDHA/EPAを摂るなら、お刺身がおすすめ」と栄養士さんからアドバイスを受けたことがあります。
オメガ3系が加熱に弱い油なので、焼き魚や煮魚のように熱を加えるとDHAやEPAが半減するそうです。
お刺身やお寿司が好きな人ならDHA、EPAがたくさん摂れますね。
同じオメガ3系として、α‐リノレン酸もあります。
α-リノレン酸は、アマニ油やえごま油に豊富含まれていて、体内でDHA、EPAに変化します。
お魚が苦手な人は、アマニ油やえごま油を取り入れてみるといいですね。
一つ気をつける点として、オメガ3系の油は加熱に弱く酸化しやすいという特徴があります。
そのため、アマニ油やえごま油を使うなら、生食での利用が適しています。
ドレッシングにしたり、出来上がった料理にかけたりして、料理に取り入れると良いですよ。
加熱料理に使えるオメガ3系の油はないのかな?と探したところ、見つけました!
グリーンナッツオイル(別名:インカインチオイル/サチャインチオイル)はオメガ3系ですが、軽い炒め物のような、短時間での加熱がOKな油だそう。
普通のスーパーで見かけることはあまりないですが、ネットで手に入ります。私も試しに購入してみました。
匂いがちょっと草っぽいと言うのでしょうか、そんな印象を持ちましたが、悪くない香りだと感じました。
味はあっさりしていて、カレーにかけて食べましたが違和感なく食べられましたよ。
以前、アマニ油をカレーにかけたら、子どもに「何か入れたでしょ?おいしくない!」と気づかれました(^^;
今回は何も感じなかったのか、普通においしいといって食べてくれました。
グリーンナッツオイルはアマニ油やえごま油よりクセが抑えめで、使いやすいと思います。
油は太る?オメガ3系やココナッツオイルはどうなのか
ところで、多くの人が「油=太る」というイメージを持っているのではないでしょうか。

しかし油には、
- エネルギーとして消費されなかった時に体脂肪として体内に蓄積されるタイプ
- 蓄積されにくく、細胞組織を作る役目もあるタイプ
に分かれ、後者は太りにくい油と言われているそうです。
上の表で言うと、オメガ3系、6系に分類されている油ですね。
とはいえ「太りにくい」ですから、摂りすぎはNGと言えるでしょう。
オメガ6系の油は、もともと過剰摂取の傾向があると言われていますし、積極的に利用するのは控えた方が良さそうですね。
飽和脂肪酸については、食材例を見ると太るイメージしか浮かびませんが、実は例外があります。
鎖のように炭素が連なった脂肪酸は、その長さによっても分類され、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の三種類に分かれます。
このうちの中鎖脂肪酸が、その消化・吸収行程の違いから、体脂肪になりにくく、太りにくいと言われています。

この中鎖脂肪酸でできた油の代表が、ココナッツオイルです。
何年か前に、アンチエイジングや認知症にも良いとして大ブームとなったココナッツオイル。
今ではすっかりお馴染みの油になり、近所のスーパーではスーパーフードのコーナーに置かれています。
しかもココナッツオイルにはラウリン酸という酸化に強い脂肪酸が多く含まれ、常温で1年くらいの保存もOKという優れモノ。
ただ、ココナッツオイルは20℃以下で固まってしまうのです。
固まったら削ってそのまま使うか、湯銭して液体に戻して使うことになります。
私は楽ちんを好むタイプなので、ワンアクション増えるだけでも扱いがちょっと面倒だなあ、と感じてしまうことがあります。
とはいえ、熱にも強くてどんな料理法にも使えるので、ココナッツオイルをメインオイルに加えるのも選択の一つです。
オリーブオイルやこめ油は使いやすい
チェックポイント2:目的の料理法に適した油であること、について。
ここで言う「目的の料理法」とは、加熱するかしないかです。
オメガ6系は、加熱料理のメイン油としての利用は控えた方が良く、オメガ3系は積極的摂取が望ましいが熱に弱いものが多い
ココナッツオイルは万能だけど少しだけ扱いが面倒(これは個人差がありますが)。
となったら、残るはオメガ9系の油です。
オメガ9系の脂肪酸の代表は、オレイン酸です。
オレイン酸は、酸化しにくく熱にも強い、という扱いやすい油です。そのため、オメガ9系であるオリーブオイルやこめ油は、加熱料理に適した油と言えます。

オリーブオイルはオレイン酸の割合がとても高く、約75%を占めています。
ですので、酸化しにくいという点では、オリーブオイルを選んでおくのが良さそうですね!。
75%という数字を出したので補足すると、どの油も複数の脂肪酸から構成されています。
その中でどの脂肪酸が一番多いかで、何系の油かが決まります。
例えば、「ホントによく効く正しい脂の選び方・使い方」によると、オリーブオイルとこめ油の脂肪酸構成の割合は、以下のようになっていました。

米油の良さは、お米が原料なだけあって、国産のものが多いです。
国産の食材を使いたいという人には、メリットの一つになりますね。
オリーブオイルにも国産のものはありますが、やはりスーパーなど手に入りやすい場所で見かけるものは、ほとんどが輸入品です。
価格の点でも、米油の方が手頃感があります。
あと、米油はオリーブオイルと違って無味・無臭なので、どんな料理でも使いやすいです。
より酸化しにくいのはオリーブオイルだけど、産地や価格、香りなどの点から、米油を選ぶというのもありですね。
悪い油には何がある?
最後に、避けるべき油についても、確認しておきたいと思います。
使わない方が良い油、それは酸化した油です。
油が酸化する理由は、主に以下の3つ。
- 長時間、光と接触
- 長時間、空気(酸素)と接触
- 高温による加熱
酸化した油は、身体にダメージを与える原因になるため、避けた方が良いと言われています。
酸化した油を避けられるように、以下のようなことに気をつけておくのが良いです。
- 冷暗所に保存する
- できるだけ遮光性の瓶に入っているものを購入する
- 小瓶で購入し、開封後1~2か月くらいを目安に使い切る
- 酸化に強い油を使用する
- 作ってから長時間経過した揚げ物、炒め物を食べない
- 油を繰り返し使用することを避ける
大容量の油は、価格的にもお得だし、つい購入してしまいがちですよね。
しかし、少容量のものを短期間で使い切っていく方が、常に新鮮な状態に近い油を使えることになります。
これは油に限ったことではなく、他の調味料についても同様です。
開封した瞬間から劣化が始まっているので、食材を良い状態で使うためには、使い切る期間や保存場所を気にすることはとても大切です。

また、お惣菜コーナーで揚げ物等を購入する時も、時間が経って値引されているものよりも、作りたてに近いものを選ぶのがいいですね。
小さなことかもしれませんが、こういった日々の積み重ねが、元気な毎日につながりますよね。
料理におすすめの油3選
油の特徴を踏まえた上で、どの油を常備すればよいのか、料理におすすめの油をご紹介します。
こめ油:クセがなくて和食にピッタリ
《おすすめの理由》
・加熱に強く、酸化しにくいオレイン酸を含む、オメガ9系の油である
・無味・無臭で使いやすい
・国産のものが手に入りやすい
グリーンナッツオイル:加熱可能なオメガ3系
《おすすめの理由》
・加熱に不向きなオメガ3系の中でも、加熱OKな油である
・現代人に不足しがちな、DHA・EPAに変化するα-リノレン酸が含まれている
・アマニ油やえごま油と比べて、クセが控えめ
オリーブオイル:迷ったらこれ!酸化しにくく、価格も手頃
《おすすめの理由》
・オレイン酸が8割近くを占めるため、オメガ9系の油の中でも酸化しにくい
・スーパー等でも種類が多く、手に入りやすい
・他の油と比べると、価格が抑えめなものもある
最初の一本としては、酸化しにくくて、どんな料理法にも使えるオリーブオイルがおすすめです。
オリーブオイルにプラスして、米油やオメガ3系の油を備えれば、バランス良く油を使いこなすことができますね。
まとめ
料理におすすめの油について、脂肪酸の特徴と合わせて解説してきました。
一言で油といっても、実に様々な種類がありますよね。
最後に、良い油に出会うためのポイントを、もう一度まとめます。
- 加熱料理にはオメガ9系(オリーブオイルやこめ油)
- オメガ3は加熱できない(グリーンナッツオイルはOK)。ドレッシング等の生食で使う。
- 管理方法にも注意。酸化した油のような悪い油は避ける
いくら高い食材を使っても、料理をするときの油が低品質では、味に影響が出てしまいます。
逆に、身近で安価な食材でも、油を変えると美味しい料理に変身することがある。
毎日の食事をおいしくいただくためにも、できるだけ良い油を選んでお料理したいですね。