今ではスーパーのお米コーナーには必ず並んでいる玄米と発芽玄米。
「白米よりも栄養価が高い」と知っていても、「どれくらい優れているのか」まで調べることは少ないのでは?

この記事では、玄米と発芽玄米それぞれの特徴を比較しながら、手軽に玄米食を取り入れる方法として、発芽玄米の利用を提案しています。
目次
玄米と発芽玄米の違いって?
田んぼから稲を収穫した時、お米はもみ殻という固い殻に覆われています。
この殻をはずしたものが玄米。
そして玄米をほんの少しだけ発芽させたものが発芽玄米です。
玄米は糠(ぬか)層と呼ばれるいくつかの層から成っていますが、これを取り去ったものが白米です。
玄米は万能!必要な栄養成分がほぼ摂取できる
玄米、発芽玄米ともにある糠層。ここに栄養成分がびっしり詰まっています。
玄米の糠層にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富!
ビタミン、ミネラルと一言でいっても、その種類はたくさんありますよね。
数えてみると、人間に必要とされているビタミンは13種類、ミネラルについては16種類もありました。

そのうち、お米で摂取できるビタミンは13種類のうち6種類、ミネラルは16種類のうち9種類。ほぼ半分です。

そして、その栄養価の数値を比べると、糠層のある玄米・発芽玄米の方がグンと高いのです。
表で比較してみました。
ご飯茶碗一杯分(約150g)での数値です。
(算出時の参照先:『日本食品成分表 2017』のご飯100g当たりの数値)
白米 | 玄米 | 発芽玄米 | 白米との比 | ||
エネルギー (kcal) | 252 | 247.5 | 250.5 | ||
タンパク質 (g) | 3.8 | 4.2 | 4.5 | ||
脂質 (g) | 0.5 | 1.5 | 2.1 | ||
炭水化物 (g) | 57.2 | 52.7 | 49.8 | ||
ミ ネ ラ ル |
ナトリウム (mg) | 1.50 | 1.50 | 1.50 | |
カリウム (mg) | 43.5 | 142.5 | 102.0 | 約2~3倍 | |
カルシウム (mg) | 4.5 | 10.5 | 9.0 | 約2倍 | |
マグネシウム (mg) | 10.5 | 73.5 | 79.5 | 約7倍 | |
リン (mg) | 51.0 | 195.0 | 195.0 | 約3.8倍 | |
鉄 (mg) | 0.15 | 0.90 | 0.60 | 約4~6倍 | |
亜鉛 (mg) | 0.90 | 1.20 | 1.35 | ||
銅 (mg) | 0.15 | 0.18 | 0.17 | ||
マンガン (mg) | 0.53 | 1.56 | 1.40 | 約2.6倍 | |
ビ |
ビタミンB1 (mg) | 0.03 | 0.24 | 0.20 | 約7~8倍 |
ビタミンB2 (mg) | 0.02 | 0.03 | 0.02 | ||
ビタミンE (mg) | 微量 | 0.90 | 0.60 | 白米には殆どない | |
ナイアシン (mg) | 0.30 | 4.35 | 3.00 | 約10~14倍 | |
葉酸 (μg) | 4.50 | 15.00 | 9.00 | 約2~3倍 | |
パテトン酸 (mg) | 0.38 | 0.98 | 0.54 | ||
食物繊維 (g) | 0.45 | 2.10 | 2.70 | 約4~8倍 |
糠層のある玄米・発芽玄米の方が、白米よりも圧倒的に優れたビタミン、ミネラル量です。
これを見ると「玄米は完全食に近い」と言われるのも納得です。
ですので、「今日はどうしても料理ができない!」という日があったら、とりあえず玄米おにぎりを食べて栄養を摂るのも一つの方法です。

もちろん、玄米だけでは摂取量が不足しますし、補えない栄養素もあるので、そればかり続けるのではなく、他の食品も取り入れて、バランスが取れるように心がけたいですね。
玄米で足りない栄養って?
では、玄米で補えない栄養成分には何があるでしょうか。
お米から摂取できない栄養成分と、それを補える食材をいくつか挙げてみました。
・ビタミンA・・・・・・レバー、卵、のり
・ビタミンB12・・・・・レバー、牡蠣、サンマ等魚介類、卵
・ビタミンC・・・・・・柿、キウイ、柑橘類、ブロッコリー
・ビタミンD・・・・・・紅サケ、サンマなど魚類、卵
・ビタミンK・・・・・・納豆、緑黄色野菜、卵
・ヨウ素・・・・・・・・海藻類、卵
・クロム・・・・・・・・海藻類
卵も玄米と並んで栄養バランスの良い食材なので、積極的に摂っていきたい食材です。
ビタミンCは果実類に多いので手軽に摂れますね。キウイは葉酸値も高いので、おすすめです。

玄米にはギャバやオリザノールといった有効成分がいくつも!
さらに、玄米にはギャバ(GABA)を始め、ストレスや老化防止に有効とされている「機能性成分」と呼ばれる有効成分がいくつも含まれています。
玄米が持つ機能性成分には、以下のようなものがあります。
- ギャバ(GABA)・・・・・・・・精神安定作用、血圧安定作用
- γ(ガンマ)-オリザノール・・・自律神経の調整、シミ・小じわの予防
- フェルラ酸・・・・・・・・・・・認知症予防効果
- イノシトール・・・・・・・・・・肝機能改善、動脈硬化予防
- フィチン酸・・・・・・・・・・・抗酸化作用
- アラビノキシラン・・・・・・・・抗酸化作用
(『医師たちが認めた「玄米」のエビデンス』より抜粋)

ギャバはひと昔前にギャバ入りチョコレートが出て、脳をリラックスさせるのに良い成分として有名になりましたね。
現代は、年齢に関係なく、ストレスを受けやすい環境にいることが多いですから、自分の子どもにも積極的に摂らせたい成分です。
フェルラ酸は植物のポリフェノールの一種で、認知症予防効果に加え、紫外線から肌を守る効果もあり、美肌にも良いと言われています。
他の成分にも、自律神経の調整や抗酸化作用という言葉が並んでいて、玄米は健康維持やアンチエイジングにとても良い食材だということが分かりますね。
発芽玄米になるとギャバの数値が大幅アップ!
上記成分の含有量がどれくらいなのか、我が家が利用しているファンケルの発芽玄米のサイトに表記されていたのがこちら。
発芽玄米 (炊飯前100g当たり) |
白米と発芽玄米の比較 | |
GABA(ギャバ) | 15mg (玄米の場合3~6㎎) |
10倍 |
総フェルラ酸 | 25mg | 2.9倍 |
総イノシトール | 241mg | 4.9倍 |
オリザノール | 28mg | 10.4倍 |
フィチン酸 | 764mg | 4.6倍 |
玄米の数値がギャバしか見つけられず、比較しにくいですが、発芽玄米だけで見ても、含有量が白米よりずっと高いことが分かります。
発芽玄米の優れた点として、特に強調されているのが、ギャバの量です。
今回調べた結果、お米の種類によってもギャバの含有量に違いがあるようでした。3mg前後という情報もあれば、スーパーで見かけた「金のいぶき」という種の玄米については 6㎎でした。
いずれにしても、発芽玄米のギャバ量は、玄米と比較しても2~3倍は含まれていることになります。
ストレスが溜まりがち、リラックスしたい、といった時にギャバは有効ですから、主食を発芽玄米にして積極的にギャバを摂取するのがおすすめです。

発芽玄米は玄米のデメリットを解消してくれる
ここまでの比較で、発芽玄米って玄米より良さそうな感じがしますね。
実はこの他にも発芽玄米を選ぶメリットがいくつかあります。
玄米は炊きにくい、食べにくい、消化に悪い?
玄米をできるだけ軟らかく、食べやすく炊き上げようとするには、炊飯前に一晩くらいは浸水時間が必要とされています。

玄米モードのついている炊飯器があれば、浸水時間を気にしなくても割とおいしく炊けますが、普通の炊飯器で白米と同様に炊くと、芯があるような食感が強調されて、食べにくく感じます。
また、玄米には糠層にあたる殻の部分があるので、消化に負担がかるとも言われています。
普段からよく噛む習慣がないと、お腹が不調になり、結果的に玄米を苦手と感じてしまう場合もあるかもしれませんね。
こういった玄米のデメリットと言われる点を解消してくれるのが、発芽玄米です。
発芽玄米なら白米と一緒に炊けて 手軽!
簡単においしく炊ける、と言われている発芽玄米。
玄米が発芽することで、殻の部分が軟化するのだそう。
これによって、長時間の浸水時間も必要なくなり、軟らかくて食べやすい、消化にも良いお米に変身するわけですね。
また、発芽玄米はこのような特徴から、白米と一緒に炊飯できます。

市販の発芽玄米のパッケージを見ると、大概記載されていますが、おすすめされている食べ方の一つとして、白米と発芽玄米の比率を2:1にする炊き方があります。
初めて発芽玄米を試すなら、この割合で試してみるのがおすすめです。
この炊き方だと、少しプチプチとした食感を味わいながらも、白米に近い食感で食べられます。
我が家も毎日この割合で食べていますが、時々発芽玄米を多めににして、食感の違いを楽しんでいます。
ただ市販の発芽玄米て価格がちょっと高めなのですよね。これが唯一のデメリットではないでしょうか。

玄米の方が安いので、自分で玄米を発芽させて食べる方法もありますが、発芽させるまでに半日以上かかるし(冬場ならもっとかかります)、水も6時間おきくらいに取り換える必要があるしで、時間に余裕がある時でないとちょっと難しいです。
なのでここはやはり、市販の発芽玄米を取り入れるのが手軽で良いですね。
ちょっとお値段は高いけど、健康によいものを取り入れるわけなので、サプリメント等を買うよりはずっと経済的だと思います。

発芽玄米は赤ちゃんの離乳食にも使える?
「玄米は何歳から食べらるのか?」
これに関しては色んな考え方がありますよね。2、3歳の小さなうちから食べてる家庭もあれば、もう少し消化能力が上がるまでは控えようとする考え方も。

もし自分の子どもに、玄米を食べさてみたいけど大丈夫かな?と迷っているのであれば、まずは発芽玄米から試してみるのもいいかもしれません。
我が家では、子どもが1歳半頃から発芽玄米入りのご飯を食べさせていました。
その頃はもうほとんど普通食に使い状態でしたが、最初から水を少し多めにして軟らかめに炊き、家族みんなで同じものを食べていましたよ。
市販の発芽玄米のサイトを見ると、赤ちゃんの離乳食としても使えます、として販売されているものもあります。
「良く煮込んでください」という注意点はありますが、離乳食の時期からでも安心して食べさせられそうですね。
もちろん、個々の発達状況等によって、与えられるかどうかの判断が必要だと思いますので、赤ちゃんや小さなお子さんに与える場合は、慎重に進めましょう。

まとめ
今回は玄米や白米と比較しながら、発芽玄米の持つメリットに注目しました。
栄養価も高くて、炊飯も白米同様に簡単で、手軽に食卓に取り入れられる発芽玄米。その食べやすさから、家族みんなで利用できるお米です。

まだ玄米生活を始めていない方は、是非最初に発芽玄米から試してみることをおススメします。
栄養バランスの取れたおかずと合わせることで、食事の質もグンとアップすること間違いなしです。